2014/03/22

マヘルのドキュメンタリー ("This is Our Music")

マヘルというか、工藤冬里を追った短い(英国の?)ドキュメンタリーが Vimeo に(Youtubeにも)落っこちてた。2011年とかにアップロードされているっぽいので、ずっとあるんだろうけど、知らなかった。


Maher Shalal Hash Baz - This is Our Music from daniel on Vimeo.

日本語字幕版があるかなと思って軽く検索してみたけどなさそうだったので、翻訳して文字に起こしてみた。適当な区切りごとに、目安の時間を振ったので、英語を聞くのが面倒くさい人は活用してください。適当な訳なので、誤りなどがあるかもしれません。品質は保証しません。



--0:32--
工藤: 時々、五線譜を(向こう側に見える山を指しながら)あの山稜に重ねて、演奏することがある。

--1:21--
工藤: ぼくは全然良い陶芸家ではない。だから、成功しないことには慣れてる。

工藤: ぼくの両親は陶芸家だったけれど、ぼくは陶芸に全く興味がなかった。でも、そうせざるを得なくて、ぼくは突然陶芸家になった。

工藤: (絵を見せながら)これは妻の礼子。彼女の肩はいつも(猫背を模して)こんな感じ。あまり良いことじゃないんだけど。それをかたどって急須を作ったんだ。ここにあるよ。

工藤: 時折、完璧なものができて、すごく嬉しい。それは音楽でもおなじ。

--3:10--
工藤: ちょっと待って、ちょっと待って。いいよ、あがって。

(マヘルの1stアルバムの実物はありますか?見たことがないのですが。)

工藤: ああ、あるよ。(探すが、なかなかみつからない。ついに見つけて)これ。

工藤: (ジャケットのヘブライ文字を指しながら)これはヘブライ語で、Maher Shalal Hash Bazと書いてある。

工藤: (この名前にしたのは)ただ、音がすきだったから。イザヤ書の第八章からとった。「速やかな略奪、またたくまの戦利品」という意味。パンクなんだ(訳注: 最後の一言がよくわからない。"punk"と言っているように聞こえるが……)

--4:47--
工藤: これが窯の名前。春と秋の窯という意味。

--5:05--
工藤: このJohn Baez の曲集をコピーしながらフォークギターを始めたんだ。この中の曲は沢山覚えているよ。この、"House Carpenter"って曲が好きなんだ。

工藤: メロディーは常に、突然ひらめくけれど、アレンジは少し作り込みが必要。

工藤: メロディーの善し悪しは、それが人々の心や気持ちに影響を及ぼすかによって、判断する。もし、ネガティブな怒りが湧くようであれば、それは良いメロディーじゃない。とても、抽象的だけど。

--06:55--
(あなたは、とても良いミュージシャンで、演奏したい人と演奏したいように演奏できるのに、依然としてピュアな音を保っていますね。それは難しいと思うのですが。)

工藤: たしかに難しい。リアリティを保つということが課題。ぼくはピュアリティあるいはリアリティを保とうとしている。多くのミュージシャンはツアーのために曲を準備し、おなじ曲を演奏する。一方ぼくは、ツアー中も毎日新しいことをやらずにはいられない。これは僕の運命だ。

--8:08--
工藤: そうだ、この音を聞かせてあげるよ。(轆轤をまわす)。時々、(この音から)言葉が浮かんでくる。"Walk out, walk out, walk out"みたいに。

工藤: このノイズはただのノイズで、意味がないけれど、もし言葉が与えられたら--たとえば、「ぼくが死ぬときのノイズ」とか-- 人々はとたんにセンチメンタルな価値を見いだすようになる。だから、言葉は大事なんだ。

工藤: (轆轤から聞こえてくる)言葉は毎日変わる。"Abandoned, abandoned, abandoned"とか。

工藤: ぼくは、作った陶器に言葉を入れる。すると、人々は陶器そのものを好きでなくても、その言葉を見て買う。

工藤: "Slowly, slowly, slowly"

--10:07--
(あなたは、反日本的な活動に関わっていたそうですが、それはどのような活動だったのですか?)

工藤: (小声で)天皇を暗殺しようとする活動だったんだ。

工藤: 政党みたいなものだったのだけど、通常の政党とは違った。集まって普通の政党がやるようなことをやることは一切なかった。ふだんは、ふつうの市民を装ってひっそりと暮らしていたのだけど、夜は爆弾を作ったりする集団だった。

工藤: 70年代の後半、彼らの何人かは既に刑務所に入っていた。音楽家であるぼくらは外側から彼らを援助していた。彼らのために政治的な曲を沢山作った。「日本を嫌え!」というようなプロパガンダ曲を。ちょっと変だよね。だってぼくらは日本人なんだから。

工藤: ぼく自身でいなければならなかった。だから、自分自身の思想やイデオロギーが必要だった。

工藤: 基本的にぼくは全く変わっていない。いまも時々ノイジーでアグレッシブな音楽を演奏するよ。

--13:32--
工藤: Stephen Pastelがぼくの音楽を気に入った。それが最初だった。日本の若者がそういったネットワークに反応した。彼らはマヘルの曲そのものが好きなんじゃなくて、マヘルのコネクションが好きなんだと思う。

--14:18--
工藤: 新しい人と演奏したい。彼らには最初のコンサートになるから、それは彼らにはストレスフルだけど、フレッシュだ。ぼくはそんな「始まり」「最初」あるいは「最後」というようなものが好きなんだ。モチベーションが音楽を作るにはとても重要なんだ。

工藤: だれが演奏するかはどうでもいい。でも、かれら一人一人にとっては、それは悲しいことだ。だって、彼らは個人として、ぼくに見られたがるし、演奏したがるから。常にそれが問題になる。ぼくは、彼らの個性を無視しがちなんだ。

(どうやって、メンバーを捜すのですか?)

工藤: 彼らのほうからぼくのもとへくる。昨日のライブは、半分が新しいメンバーだった。

工藤: 新しい友達が好きなんだ。

--17:24--
工藤: ぼくはずっと聴衆から無視され、疎まれてきた。特にPAは常にぼくを嫌う。

工藤: ぼくはいまもほとんどの人から無視されている。特に地元では。

工藤: さいきんは人々がぼくの音楽を理解するようになってきた。それは悲しいこと。Geographic からリリースした後から、ぼくの音楽は認知されるようになった。人々は雑誌でぼくの音楽のことを読んで、聴く前からぼくの音楽をリスペクトしている。かれらはぼくのライブに泣きに、あるいは感激しにくる。

工藤: ぼくがふつうだったことは、これまでのところないと思う。

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